PARADOX - NOTE
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■岩代俊明「みえるひと」
最初に読んだのは本誌読み切りの同タイトル。トイレに出る悪霊の話。
明神の台詞「死ぬ瞬間だよ」に違和感を覚えたものの、それ以外は全てにおいて素晴らしく、連載開始に強く期待した作品です。なんといってもキャラがいい。いきなり道に迷っている姫乃、駅の構内で一人案内パフォーマンスをしている(ように見える)明神。二人の掛け合いは実に楽しい。霊が見える、見えないを軸にしたズレも良い。構成も見事で、冒頭・中盤・結末に全て登場するOLの霊がいい立ち位置。アパート「うたかた荘」に辿り着くエンディングは、「こいつらの話をまた読みたい!」と熱望させるものでした。

連載版も基本的な路線は同じで、明神・姫乃がうたかた荘に集う霊と絡んでいくというもの。序盤は姫乃たちの日常と霊の非日常がミックスされた感じで進んでいきます。しかし中盤からは戦いに次ぐ戦いで、そうした日常の描写は影を潜めてしまう。

「みえるひと」は日常の中に非日常が紛れ込んでくるという境界性にこそ面白さがありました。じっとりとした日本的な恐怖を採用していたのも、やはりここに絡んでいます。非日常の連続になってからはこうした面白さがスポイルされてしまった。本当に惜しい作品だと思います。

この作品は本来、徹底したバトルものとして展開させる予定ではなかったはず。霊が見える人、見えない人の違いは、日常にあって初めて意義が見出せる。非日常の住人は霊が見えて当然なので、その特異性が一切なくなってしまうからです。
かなり遅いタイミングで描かれた二人の抱えるドラマも、戦いの中で出てきたためにじっくり深めていくことが難しかった。一つの手法ではあるけれど、本作の持つ日常の面白さから完全に切り離されていたのはもったいないです。

最終回で姫乃は夢を見ます。あれだけ敵対的に描かれていたキヨイたちが、なぜかアパートの住人になっているという夢です。あの生き生きとした描写を読み返してもらいたい。短いページの中でキャラクターの個性ある言動がきっちり表されています。陰惨な殺し合いだけではない、奇妙で楽しい日常。これこそ「みえるひと」の本質。
読み切り版の最後にあったモノローグが、「うたかた荘」のあるべき姿を最も正確に伝えていると思います。

「その後何度も何度も引っ越しを考えた…奇妙な管理人とおかしな霊達との共同生活は―――
…実は、今も続いている。」


テーマ:週刊少年ジャンプ全般 - ジャンル:アニメ・コミック


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